夢と想いが乗せられた服

「私は服をデザインしているのではない。夢をデザインしているのです。」
I don’t design clothes, I design dreams.
(ラルフ・ローレン氏の言葉より)

ブルックス・ブラザーズと並ぶアメリカン・トラディショナルの代表的存在とされているファッションブランドのラルフ・ローレン。その創業者は、現役ファッションデザイナーでニューヨーク出身のラルフ・ローレン氏ですが、同氏はロシア移民2世の労働者階級のユダヤ人で、決して裕福ではなく、将来億万長者になることを夢見ていました。大学を中退すると、ブルックス・ブラザーズの販売員として働き、憧れだったニューヨーク上流階級の生活様式、ファッションなどを勉強しました。この時の経験を活かし、1967年、Poloというブランド名でネクタイを発売しました。これがファッションブランド「ラルフ・ローレン」の始まりです。アメリカンドリームを夢見る移民国家のアメリカ人に英国貴族が親しむポロというブランド名をつけることによって、上級階級の気分を届けたのです。

以来、自分はデザインが苦手だと言い、夢づくりをデザイナーに提案するコンセプターとしてブランドの発展に力を尽くします。同社は、ホームページの中で、創業以来掲げている行動指針として、「時代を超越したスタイルを通じて人生をより充実させる夢を抱いてもらうこと。」と力強く語っています。物が溢れている今日、ただ商品を届けるのではなく、その背景にある物語を届ける「プロセスエコノミー」という考え方を耳にするようになりました。提供者の想いやその商品が誕生した背景に人は心を動かし、ファンになるというものですが、ラルフ・ローレン氏は50年も前から商品に夢を乗せてお客様に届けていたのです。ラルフ・ローレンの店舗が、古き良きライフスタイルを連想させる紳士クラブや、西部劇に出てくるバンガローそのものに作られているのは、ラルフ・ローレンがデザインするのが服というよりは、アメリカ人の”夢“だからなのです。そんな彼の想いが今のファッションブランド「ラルフ・ローレン」を支えているのです。
[ビジネスプロデューサー 古澤秀彦]

毎週月曜日、「夢創造実現Project」と題し、夢にまつわる名言からの学びを考えてまいります。