周りのせいにしても何も生まれない

「夢が叶わないことを周りのせいにしていませんか。自分の高い志を信じて、周りに振りまわされず、一人で強く進みましょう。」
(瀬戸内寂聴さんの言葉より)

あおぞら説法で知られる瀬戸内寂聴さんが、今月9日、お亡くなりになられました。99歳でした。寂聴さんは、売れっ子小説家だった51歳の時に出家し、天台宗の尼僧となりました。その時の心境をこのように語っていました。「売れっ子で贅沢もできたけど、それでは補えない漠とした不安を感じるようになり、こういう生き方は違うと思った。」と。そして自らの波乱万丈の人生から得たものをあおぞら説法というカタチで多くの人々に伝えていくようになりました。

この寂聴さんの言葉は、世界中がコロナ禍に苦しみ、乗り越えようとしている今、正面から向き合うべき言葉です。挫折した時、苦しい時、うまくいかない時、それはそれは辛いもので、心が折れそうになってしまうことを否定はしません。ただ、ここで、どう考えるかがその後のあなた、貴社の行方を大きく左右するのです。周りや環境のせいにすることは簡単ですが、そこからは何も生まれてきません。単なる鬱憤晴らしの自己満足です。

「アドラー心理学」のアルフレッド・アドラー氏は、「劣等感をバネに偉業を成し遂げた者は数知れない。」という言葉を残しています。代表的な人物の一人にベートーベンがいます。ベートーベンは、20代後半から聴力が落ち、30代に入るとほとんど聞こえなくなりました。音楽家として致命的な状況に追い込まれ、一時は自殺まで考えたほどだったと言います。しかし、この絶望的な状況でも自分と向き合い、作曲専業の音楽家に転身することにより、見事にこの大きなハンデを乗り越え、「楽聖」と呼ばれる歴史的音楽家になりました。

周りのせい、環境のせいにすることは簡単です。ただ、それでは次のステージに進むことはできないでしょう。苦境に立たされた時、どれだけ逃げずに自分と向き合えるか、しっかりと心に留めておきましょう。必ず、道は切り拓かれます。
[ビジネスプロデューサー 古澤秀彦]

毎週月曜日、「夢創造実現Project」と題し、夢にまつわる名言からの学びを考えてまいります。